尾道散歩
- 2015.09.30 Wednesday
- 21:14
古くから多くの文豪、芸術家に愛された町、尾道をぶらぶら散歩してきました。
林扶美子、志賀直哉の小説や、数々の映画の舞台にもなった小さな港町、尾道。
以前から一度ゆっくりと訪れてみたい町でしたので、今回の因島への旅のついでに立ち寄る事にしてみました。
海岸からはすぐに急な傾斜となり、その斜面には多くのお寺や神社、そして入り組んだ路地には民家が立ち並びます。
噂には聞いていましたが、道は狭くて勾配がきつく階段が多い為、車が入ってこれません。
その為、昔ながらの路地の風景がそのまま残っていて、住んでいる方には不便な事でしょうが、我々観光で訪れた者には、まるでタイムスリップして小説の世界に入ったような気分になりました。
林扶美子の有名な『放浪記』や、志賀直哉の『暗夜行路』の中にも、尾道での生活について語られる部分がありますが、小説で読んだその風景の中に立ち、時代は違えど作者がいたその場所の空気を吸う事で、物語が自分の中にしみこんで行く様な気がします。
志賀直哉、旧居
『暗夜行路』の尾道でのくだり、この部屋から見た風景が語られています。
『あ〜、ここから見た風景なんだな〜』と感慨もひとしお。
案内のおばさんに『どちらから、いらっしゃいましたか?』と尋ねられ、『種子島から来ました』と答えると、えらく感激してくれました。
昼食の為に一度下界へ降りましたが、シルバーウィークとあって、とにかく人人人。
えらく行列がしているので、何かと尋ねると『ラーメンです』だと。
嫁さんは『尾道ラーメンが食べたい』と言っていましたが、あちこちにあるラーメン屋は、どこも長蛇の列。
待つのと並ぶのが何より嫌いな僕は『ラーメンは却下・・・』不満そうな嫁。
そこでふと目についたアジア風レストランバー『参遍来(マイペンライ)』へ。
壁いっぱいに面白そうな本が積み上げられた、ちょっと不思議な、でも僕的には素敵な空間。
個性的なマスターとお話しするうち『種子島には知り合いがいる』とのこと、よく聞くと僕たちの数少ない友人で『え〜っ!!』っとびっくり。
変な偶然があるもんだ、と一気に親近感が湧いてくる。
これも何かの縁ですな〜。
食事の後、有名な千光寺を訪ねたり、文学館や映画記念館、そしてちょっとレトロチックな商店街などをぶらぶら尋ね歩いていると、あっという間に夕方。
夕方からは、現在尾道の近くに住む、嫁が20代の頃の元ルームメイトと食事の約束。
彼女が予約してくれた、お洒落な海辺のカフェレストランにて、お子ちゃまのコータロー共々久しぶりの再会。
美味しい食事とビール&ワインでほろ酔い気分でお喋りしていると、元ルームメイトのA子がふと『ここ予約する前に、以前よく行ってた店があって、〜君が好きそうなちょっと変わった店で、そこにしようかと思ってたけど、カウンターしかないから止めた。』とのこと。
『へ〜、どんな店』とそのまま話を聞いていくと、僕らが昼食をとった『参遍来』で、一同爆笑。
『よし、二件目は参遍来で決まりや、行こう』とすぐに話はまとまり、昼に続いて『参遍来』へなだれ込む。
本日二度目の『参遍来』で、おっさんとおばはん2人は、積もる話に子供ほったらかしで大いに盛り上がり、特に女子二人組は飲んだくれて、たまたま一人旅で来ていた、20代の若者を捕まえ大はしゃぎで、見ているこちらが恥ずかしい・・・
楽しい時間はすぐに過ぎ、終電ならぬ、因島行き終バスに乗り遅れないように女子2人を引きずり出す。
この人達は放っておくと朝まで飲んでるはず。
またの再会を約束し、しばしのお別れ。
旅先で会う、懐かしい顔、そして偶然の出会い。
どれも楽しく美しい思い出になりました。